★大学の学部や学科の話★ ☆☆☆☆☆☆☆

◆  文学部・人文学部のイメージ・何を学ぶの?就職について
 「文学部・人文学部」についてです。
 みなさん、人文学系についてどんなイメージをもっているでしょうか?
・「文学についてひたすら研究する?」
 ある学科はそうかもしれませんが、それはほんの一部分です。
・「あまり学校に行かなくていい?」
 たしかに、他学部と比べると、取得単位数が少ないこともあるかもしれませんが、自分から能動的になればしっかり学ぶことはあると思います。
・「卒業しても就職しにくい?」
 そんなことはないはずです。たしかに、研究・開発といった技術や知識が必要な職種の就職は無理かもしれませんが、営業やマーケティングといった仕事であれば、なにも経済学部や経営学部をでていなくても、入社後に十分身に付くところなので、人事担当の方もそれほど考慮しないのが現実であるようです。 むしろ、入社してからの能力を面接で見極めようとするはずです。
◆何を学ぶの?
 文学部・人文学部ともに、「文系学問から法学・政治学・経済学といった社会科学を除いた学問群を指す」という定義で似ており、ほとんど同義です。
 ただ人文学部は「人」に関係する学問の色が強いこともあります。文学部は理念的に「哲学」・「史学」・「文学」という人文学の三つの部門を持ちますが、「心理学」や「社会学」といったものも含み、非常に幅広い分野にわたったりします。
 まず「哲学」は、倫理を勉強している人には理解しやすいかもしれませんが、大雑把にいうと『真理』・『美』・『存在』などの命題に対してうまく説明するように考えていく学問です。
 このようなことを学ぶと、物事について、深く、いろんな見方ができるようになるかもしれません。
 それから「史学」は高校の歴史の授業みたいな感じですが、さらに細かく、あるテーマについて深く掘り下げて学んでいきます。
 このようなことを学ぶと、過去の歴史的事象から現代の問題について考える見方ができるようになるかもしれません。
 「文学」は大きくわけて日本と外国があり、それぞれ国語の授業や英語の授業みたいな感じになります。
 ただ、大学では答えがはっきり決まっている受験とは違って、答えの無い・もしくは答えの難しい事柄について考えていきます。
 このようなことを学ぶと、論理的な思考力がつくようになるかもしれません。
 「心理学」・「社会学」は、人間の心理や人と人との関係や構造を学んだりします。その中には、臨床心理学など、職業・資格に直結しているものもあります。
 このようなことを学ぶと、会社などの組織における人事のようにうまく人間関係を扱えるようになるかもしれません。

 

◆  ◆経済学部のイメージ・何を学ぶの?・就職について
 イメージとしては、文系学部に含まれることからバリバリの文系のように思う人もいるかもしれません。
 しかし、実は論理的な思考を使ったり、数学的な計算を使ったりするので、理系的な部分を多分に含みます。
 それから「経済学部」はよく「経営学部」とごっちゃになっている人もいるかもしれませんが、別々の学問です。
 ただし、経済学部の中にも経営学科が存在している大学もあったりもするので、みなさんの受ける大学がどうなっているか調べておいてください。
 また、就職に関しては、銀行などの金融系に就職する卒業生も多いですが、普通に企業で経理を担当したりする仕事にも就いたりしています。
 もちろん、営業職に就く人も多いでしょう。 また、独立して税理士や公認会計士の資格をとって自分の事務所をかまえたりする人も多いと思います。
◆何を学ぶの?
 経済学部は簡単に言えば、「お金の流れ」について学びます。
 その中には、社会全体や世界全体についてのお金の流れを考えていく「マクロ経済学」と、例えばある会社ではどのようにすれば効果的に消費者に提供し、儲かるようになるのかといったことを考える「ミクロ経済学」があります。
 そのほかにも、昔の経済の理論を学んだり、経済に関する様々な理論を学んだりします。
 最近、株がブームになっていますが、株取引のしくみなどについて学んだりもすることでしょう。
 また、お金の動きを学ぶためには統計や微分・積分など数学の知識を使わなければいけないときもあります。
 数学の基礎的な知識は身につけておきたいところです。

 

◆経営学部・商学部のイメージ・何を学ぶの?・就職について
 イメージ的には、「経済学部」と同じように考えている人も多いかと思います。 しかし、その定義は異なっており、「経済学部」が社会全体や企業全体についてのお金の流れを考えていくのに対して、「経営学部・商学部」では、より実践的な経営についての学問を学びます。簡単に言うと、「商売するにはどうやったらいいのか」「会社が成り立っていくためには何が必要か」ということを学ぶということです。
 例えば、あなたが、事業を始めようと考えたとします。
 しかし、まず個人事業にするのか、有限会社や株式会社、はたまたNPO法人など、選択肢はいくつもあります。
 それから、何をどういう方法で売るのか、店舗を設けるのか、広告や宣伝はどうするか、社員などを雇うか、税金についてはどうするか、資金はどこから調達するのか・・・といったことが必要になります。

 このような実際の経営について細かく学んでいく、ということです。
 

基礎的科目として「企業経営」「会計」「マーケティング」「情報」の基礎を学び、その後「ビジネスモデル」などのより専門的な分野を学んでいきます。
「起業・経営」のコースでは、将来、ベンチャー起業家を目指す人のために、事業アイディアをビジネスとして組み立てる思考プロセスを実践的かつ体系的に学んでいきます。
「会計」のコースでは、基本的な経営理論や複式簿記の技術および会計理論をベースに、企業の財務諸表の作成や分析を通して、幅広い会計マインドを実践的に学んでいきます。
「マーケティング」のコースでは、経営活動におけるマーケティングの実際面や、市場環境の変化に対応したマーケティング活動を計画的に行うために必要な知識・技法を体系的に学んでいきます。
「情報」のコースでは、基本的な経営理論や財政・会計理論をベースに、企業経営における情報活用について事例で実践的に学びます。企業・社会のなかでお金の流れだけでなく情報の流れの理解を通して企業経営を把握する素養を身につけることを目的としています。
 また最近の大きなキーワードである「情報化」「国際化」についても学び、時代の流れについて理解していきます。
 ただし、経営学部を出たからといってそのまま経営者になるとは限りません。
営業職や販売担当となるほか、会計士や税理士、情報処理の資格をいかして活躍しています。
基本的には一般企業に勤める人が多いようです。
会社に入って、企業の一員として経営を考えていく、ということもできると思います。

 

◆教育学部のイメージ・何を学ぶの?・就職について
 みなさんは教育学部というと、どんなイメージがありますか?
 「学校の先生になりたい人しかいかない。」 というイメージを持っている人がほとんどだと思います。たしかに、学校の教員になりたい人は、教育学部で間違いはないと思います。しかし、「教員養成」というのは、教育学部の中の一つの分野です。
 教育学部は大きく分けて、「教員養成系」と「教育学系」とに分かれます。
 ・「教員養成系」
 「教員養成系」はいわゆる「先生」になるための講座です。 先生には、幼稚園・小中高・養護学校などを含みます。それぞれの先生になるために必要なことを学びます。
 ・「教育学系」
 「教育学系」では学校に限らないあらゆる分野での教育に関する基礎的な研究をします。
 例えば、「学校でのゆとり教育についてどのように取り組んだらよいのか」、「会社での人材育成のためにはどのような教育を施したらよいのか」といったテーマに従って学んだり検討したりします。卒業後は教育学の研究者を目指すか、一般企業で人事などの仕事に就くようです。
 最近では、教育学部においても教員免許をとらなくても卒業できる制度となっている大学も増加したために、卒業生の進路としては、教員、公務員のほかに、そのまま大学で研究を続けたり、金融業や製造業といった一般企業で働いたり・・・と多岐にわたっているようです。
 それから、教員免許がとれるのはなにも教育学部だけではありません。
 例えば、理学部の理科系学科を卒業すると、中学校や高校で理科の教員の免許も取れたりしますし、体育大学を卒業して体育・保健の教員になることもできます。
先生を目指している人で、すでになりたい分野が決まっている人は、どのような選択肢があるかをもう一度調べてみてもいいかもしれませんね。

◆  工学部のイメージ・何を学ぶの?・就職について 
 工学部は技術を磨いてモノをつくるところです。
 理学部が「基礎研究」であるならば、工学部はその理学部で作られた理論をもとに製品などのモノにしていきます。
 突然ですが、今、辺りを見回して目の前にあるものをあらためて見てみてください。

 テレビ、パソコン、家具、楽器、部屋、食器、・・・などいろいろ目に入ると思いますが、こういったほとんどの日常製品が工学部卒の開発職の人の手によってつくられています。
 そのほか、宇宙開発やロボット開発、そして医療の分野でも発展のために貢献しています。
 工学部は分野が幅広いのですが、大きく分けると、
・機械工学
・建築、土木工学
・材料工学
・情報工学
・生物工学
・電気、電子工学
・航空、海洋工学
などに分かれています。
 例えば、パソコンやネットの仕組みを学びたければ「電気、電子工学」や「情報工学」、ロボットを作りたければ「機械工学」といった感じです。
 区分は各大学によって違ってくるので、自分のやりたいことができるのか、よく調べておくようにしましょう。
 就職については、圧倒的に企業での商品の研究・開発職に就く人が多いでしょう。
 もちろん、公務員として研究したり、大学で研究し続ける人もいます。
 また、その技術の知識を活かして営業職に就く人もいます。
 営業職については、入社してからのがんばりの方が重要なので、どの学部を卒業していてもあまり関係ありませんが、工学部での知識がある分、ほかのひとよりも先にスタートラインに立つことができるかもしれません。

 

◆  ◆理学部のイメージ・何を学ぶの?・就職について
 理学部が「基礎研究」であるならば、工学部はその理学部で作られた理論をもとに製品などのモノにしていく分野であることを説明しました。
 理学部で学ぶこと、それは、「この世の理論の解明」です。
 いきなり言われてなんのこっちゃ、って感じですね(笑)
 要は、「なぜ?なんで?」をとことん突き詰めるところです。
 たとえば、「人間はなんで寿命があって永遠に生きられないの?」という疑問があるとします。
 すると、「遺伝子に組み込まれているからではないか?」ということが研究で仮定されます。

 すると、「じゃあ、どうやって遺伝子に組み込まれているの?」と疑問がおこります。
 すると、「どうやら『テロメア』という染色体末端物質が関わっている」ということが研究で明らかとなります。
 すると、「じゃあ、『テロメア』がどのように関わってるの?」と疑問がおこります。
 すると、「細胞分裂をすると『テロメア』がどんどん短くなっていって細胞老化がおこるから」ということが研究で明らかとなります。
 このようにして、生物界の理論が解明されていっているわけです。
 そうすると、次は「じゃあ、その『テロメア』の短小化を防いで不老不死にできないの?」といった興味がおきます。
 すると、「『テロメアーゼ』という『テロメア』を長くする酵素を利用するといいのではないか?」という仮定がでてきます。
 そうこうしてると、「実はガン細胞が無限増殖するのは『テロメアーゼ』が関与している。」ということが明らかになります。
 すると、「だったら、この『テロメアーゼ』を集中攻撃したガン治療法ができるのではないか」・・・・
 難しい話になってしまいましたが、このように、研究していけば、どんどん疑問も湧いてきますし、別の発見もあって思いもよらないことがわかったりするのも、基礎研究の醍醐味です。
 理学部には主に、
・数学
・物理
・化学
・生物
 に分けられますが、これらの分野は独立しているわけではなく、突き詰めると全ての分野が関連してきます。
 たとえば、「生物物理化学」といった授業もあります。
(なんやねん!という話ですが(笑))。
 進路については、そのまま大学で研究を続ける人もいますし、農林水産省などの国家公務員として研究したり、企業にて基礎研究や開発をしたりします。
 また、理学部を卒業すると、中学・高校の教員の免許も取れたりするので、教師になる人もいます。

 

 

◆  ◆農学部のイメージ・何を学ぶの?・就職について
 農学部といえば、田んぼや畑を営む一般的に言う「農業」を勉強するところ、というイメージがあるかもしれません。
 たしかに、このような農業について考える「農学」が中心となってきます。
 しかしその内容は、「畜産学」、「農業工学」、「農芸化学」、「林学」、「獣医学」なども含む場合があります。
 「畜産学」とは、牛や豚、鶏などの家畜を育てたり市場に出したりするためにはどうしたらよいか、ということを考える学問です。


 「農業工学」とは、農産物の生産などに使う機械について学んだり、排水や干拓の技術について学んだりする学問です。
 「農芸化学」とは、土地や肥料について化学を利用して農業に活かしたりする学問で、最近は遺伝子組み換えや、クローン技術などのバイオテクノロジーに対する研究も活発に行われているようです。
 「林学」とは、木を切って木材にする林業について考えたり、林業によって引き起こされる環境問題についても考えていきます。
 「獣医学」とは、ご存知動物のお医者さんである獣医師を目指して、動物に関する医療などを学びます。
 ただ、大学によってその内容があったりなかったりするので、ホームページなどでよく調べておくことが必要です。
 一昔前まではあまり人気がなかった農学部ですが、昨今のバイオテクノロジー技術の進歩によって、人気を集めるようになっています。
 農学部は、今後の地球にとって重要問題である、資源、エネルギー問題に対しても取り組んでおり、非常にやりがいのある分野でもあると思います。
 就職については、多くの人が大学院へ進学した後、食品会社や化学会社、または公務員での研究職として就職する人が多いようですが、理学部などのようにそのまま大学で研究する人もいます。

 

◆  ◆薬学部のイメージ・何を学ぶの?・就職について
 薬学部については、「薬剤師」という国家資格がとれることは、みなさんもご存知のとおりです。
 しかし、この「薬剤師」という国家資格についてですが、学校教育法の改正により、これまでは4年間の課程を修了すると得られたものですが、2011年から6年の課程を修了しないと得られないようになりました。その結果、薬剤師の資格を取得するコースでは医学部医学科と同じように6年制となっています。徳島大学薬学部では第107回薬剤師国家試験における本学の(令和3年度6年制)新卒合格率は97.73%でした。
(全国の6年制新卒合格率は85.24%)
 大学で学ぶことといえば、主に化学・生物の応用だと思ったらよいです。
 例えば、酵素の働きを化学反応で理解したり、微生物や遺伝情報の解析などをつっこんで学んだりします。
 最近注目されている「バイオテクノロジー」についてももちろん学び、その点では理学部・農学部と同じです。
 就職・進路については、薬剤師として病院や薬局で働く人はもちろん多いですが、前述のように研究者や企業の情報担当者となったり、教員免許もとれることから、中学・高校の理科の先生になる人もいます。